天気 :15日 曇り時々晴れ、16日 曇り
メンバー:ボイジャー
行程 :15日 丹波バス停9:40→(車道歩き)→小室川谷出合11:50→(S字峡)→松尾沢出合13:50→中ノ沢出合先BP16:00
16日 中ノ沢出合先BP8:20→(4段40mナメ滝)→蛇抜沢出合10:30→稜線12:50→(大菩薩峠)→上日川峠14:30
梅雨の週末、大菩薩の名渓、小室川谷を友人と1泊2日で遡行してきました。
<山行記録>
6月に入って梅雨入りしてから冴えない天気が続く中、週末の天気予報が曇り時々晴れとなったので、すかさず1泊2日りの沢登りを計画した。
場所は大菩薩エリア随一の人気沢である小室川谷を選択した。
遡行グレードは2級、中級の沢であり、遡行に成功すればそこそこの充実が得られることだろう。
なお、東京に近い沢なので、釣り師とのトラブルリスクを考慮して今回は少し遅い時間に入渓する計画とした。
小室川谷へのアプローチは自宅から電車2.5時間+バス1.5時間+徒歩2時間、車なら深夜運転で3時間弱だろうが、
いずれにせよ自宅から山があまりに遠すぎる次第である...。
泉水谷の駐車場には釣り師の車がびっしり...、なんとそのうちの1台に「小室川谷に入ります」とのメモ書きが貼ってあった...。
その車の持ち主が釣り師ではなく山岳会の方であることを祈りつつ、ここで少し休憩を挟んだ後、先へと進んだ。
長い林道歩きを経て、午後11時50分、ようやく入渓である。
序盤から水量が中々多そうで、この先どのような滝や釜やゴルジュが待ち受けているのか...。
沢登りの場合、自分はどうしてもワクワクよりも緊張が先行してしまう境地である。
明るい渓相の中をしばらく進むと一番最初の象徴的な滝ともいえる2段7mが現れた。
上の写真は(確か?)下段だと思うが、絵になる写真が撮れた。
続く(確か?)上段は左側の岩場を攀じるが重い荷物を背負ってだと少し難しく、少しモタついていたところ、
先行していたメンバーがお助けひもを出してくれたのでそれを使って突破した。
スタートからずっと明るくメリハリの利いた渓相が続き遡行を飽きさせない。
先行する釣り師を少し気にかけていたが、結局バッティングすること無く、核心ともいえるS字狭に到着した。
(車の主は沢ヤだったのだろうか...、張り紙のおかげで釣り師が入渓を避けてくれたとしたらマジでナイスファインプレーである[笑]。)
(写真:核心のS字峡入口、滝の水圧は結構激しくザックを背負った身では100%跳ね返されてしまいそうだった。)
ここはセオリー通り右岸(向かって左)の岩場を攀じって懸垂でゴルジュに降りる選択をとった。
(懸垂支点のあるテラスの手前の段差の登りが少し怖かった。ここは無理せず空身で登ってザックを引っ張り上げるのが安全だろう。)
懸垂下降は5m程度だがオーバーハングな岩からの下降であった。ゴルジュに降り立った先に難所は無かった。
S字峡を抜けた先も釜を持った5m程度以下の明るく楽しめる滝が頻繁に現れ充実遡行が続いた。
(写真:石門の滝である。右岸に残置ロープがあるが登攀はエキスパート向けに思えた。)
遡行図には右岸の岩壁掛かる残置ロープを使って攀じるとあるが安全ではなさそうで、少し戻って左側(右岸)を大きく高巻く選択とした。
高巻きした後、注意すればノーロープで沢床に降りれそうであったが、念のためにロープを出して下降した。
石門の滝を超えるとネットの遡行記録でよく目にする石門(石の割れ目?)が現れた。
折角なので(セオリー通り?)くぐりぬけてみた。
本日最後の難所ともいえる小室ノ淵、巻くこともできるようだがここは思い切って泳いで突破した。
沢の中では濡れると寒いので泳ぎをできるだけ敬遠してしまいがちだが、思い切って水に飛び込み泳いで核心を突破できた時の達成感はひとしおである。
今こうやって山行記録を整理していても、あの時泳いで突破してよかったなあと余韻に浸れる次第である。
小室ノ淵を泳ぎ切ったその先には滝があるのだが、左側を攀じって超えることができた。
そのすぐ先が中ノ沢出合でさらにそこからものの数分で良質なビバークポイントを見つけることができた。
以前の遡行者がそのまま残してくれたと思われる薪が沢山あったので、ここで幕営することにした。
前日東急ストアで大きなジャガイモをゲットできたので、焼きじゃが(濡れた新聞紙とホイルで包むだけ)を仕込んできた。
沢登りの醍醐味は何といっても焚火である。焚火でじっくりと焼き上げたジャガイモは本当に美味しく、至福そのものである。
この日の夕ご飯は(すこし手抜きだが)レトルトカレーを選択、とは言っても白米はレトルトでなくビリーカンでの炊き上げである。
因みに白米は一人1.5合、カレールーはボンカレー(安い)とインディアンのレトルト(高い)の2袋な満腹仕様である。
メインはインディアンカレーで、ボンカレーは単にコスト節約で選択しただけだった。
しかしいざ食べてみると美味しかったのはボンカレーで思った以上に具が多く味も良くて沢の夕ご飯にぴったしであった。
焼酎のお茶割をお供に焚火を囲みつつよなよな過ごした後、シュラフに包まって1日目が終わった。
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翌日未明、目を覚ますと夕立のような大雨が降っていた、通り雨だろうか...。
タープの外側に干していた沢服は切なくも雨でビショビショになってしまっていた。
2日目は5時起床7時出発の予定だったが、雨降る中、タープ下でシュラフに包まっていると本当に心地よく、
雨音がBGMになってつい二度寝して起きたら朝7時半....、幸い雨は上がっており、慌てて朝食と準備を済ませてテン場を後にした。
スタート早々からミニゴルジュや釜を持った小滝が連発、昨日に引き続き全く飽きさせない。
空模様は曇天だが寒くはなかったので、この日も積極的に水線突破で進んでいった。
雨乞ノ滝をセオリー通り右岸から巻いたところで、小室川谷最大の見所ともいえる4段40mナメ滝が姿を現した。
この滝は登攀や高巻きではなく概ね水線上を進むことができ、美しさや豪快さもひとしおである。
大菩薩エリア随一と形容しても遜色のない小室川谷の一番の見所と言えよう。
1段目と2段目は水線左側を登り3段目手前で右側に移って登る。
4段目はスラブ上で足場が乏しいが、残置ロープがあるのでそれを使って楽しく突破できる。
4段40mから先も水量は引き続き十分で終始小滝が連発する。
これからしんどいツメを控える身としてはこの時点で既に十分お腹いっぱいなのだが、中々休ませてもらえない。
(写真:端正な2連幅広滝。S字狭や4段40m滝と並んで小室川谷の見所の1つと言えよう。)
沢登りなので当然水線は細くなっていくが、小滝は途切れること続いて、稜線手前まで登りっぱなしな感じであった。
メンバーはハイペースで難なく詰め上がっていく一方、自身はバテないようカメさんペースで一歩一歩登り上がるのが精一杯であった。
稜線手前でようやく登山者の姿が見えた時にはこれでしんどい詰めがようやく終わりだとわかって少しホッとした。
稜線に出ると、周辺の景色はガスに包まれていた。
あとは下山だが、公共交通機関でアプローチしたのでゴールは上日川峠、楽勝である。
大菩薩峠で記念撮影と缶ビールで軽い打ち上げを済ませた。
それにしても改めて自身の姿を写真で見返したとき、横に伸びていく体系変化に辟易する...、マジでダイエットせねば。。。
最後は30分ほど登山道を歩いて午後2時半、上日川峠に到着して無事下山となった。
その後、やまと天目山温泉でリフレッシュした後、甲斐大和駅近くのお気に入りのご飯屋さんで馬刺、から揚げ、ビールと、フィナーレに相応しい豪華な食事で大締めとした。
今回の山行は達成感もひとしおであった。十分満ち足りた活動になったことは言うまでもない。