天気 :晴
メンバー:ひとり
行程 :望岳台7:00→十勝岳11:00→望岳台13:00
2024年北海道遠征の最大目的「晴れの十勝岳の展望を楽しむ!」ようやく叶いました。
<山行記録>
今回北海道遠征の最大の目的こそ「晴れの十勝岳」登頂であった。
日本百名山にも選定されている十勝岳には以前黒岳から大雪山系を縦走した際に一度登頂しているものの、
その時はガスの中の暴風雨で360度の景色を全く拝めず山頂から引き下がっている。
その時以来、必ずリベンジを誓って、できれば次回は山スノボーで再訪したいと思っていたところでようやくその望みが叶うタイミングやってきた次第である。
ちなみに宿泊先は前日から3泊4日で白銀荘を確保しており、十勝岳には最も天気が良いタイミングで登頂するつもりであったが、それがこの日となった。
望岳台に到着して雪に覆われた十勝岳と対峙する。
遅くまで雪が残る山であるものの風が強く火山系の山なのでうまい具合に雪が付いていない状況は想定内でルート取りが肝と考えていた。
なお、自身は十勝岳ビジターなので火山ガスにも注意を払う必要があろう。
十勝岳は樽前山、浅間山、桜島らと並んで常時観測Aとしてカテゴライズされている活火山であり、山から発せられる毒ガスには油断ならない。
朝7時、行動を開始する。スタート地点に雪は無く、気持ち程度に残った残雪をつないでシールで登るか潔くシートラで進むかの選択となるが、
今回は残雪をつないでシール歩行で登り上がっていく方法を選択した。
しかし地球温暖化の影響もあって本当に雪が少なく、先に進むのに雪を探して右往左往する羽目となってしまった。
ここは最初からシートラを選択するのが正解であった。
風光明媚な十勝岳だが、何処で写真を撮っても景色が変わり映えしないことに気づかされる。
この構図の写真を一体何枚撮影しただろうか(笑)とりあえず十勝岳避難小屋手前から撮影した一枚を代表写真として拡大掲載しておこう。
十勝岳避難小屋を過ぎてここからグラウンド火口までが本格的な登高となる。
ここが体力的核心になると思っていたが、この日はルート、斜面の傾斜、そして雪質が自分のギアと奇跡的にマッチングしたようで、
何の苦も無くグイグイと急斜面を直登できて気づいた時にはグラウンド火口に到着、この時正に無双状態の如しであった。
(写真:日本離れしたグラウンド火口。前を歩くスキーヤーさんとは登りで何度もスライドし、しんどい登りをお互い励ましあいつつ談笑を楽しんだ。)
グラウンド火口からもう一段登った先でようやく山頂までのルートを俯瞰することができる。
この日はこの辺りの標高となると雪質はかなりアイシーで硬く、滑落しないよう気持ちを引き締める必要があったのだが、
シール歩行で尾根の肩までダイレクトに直登してしまおうと少し調子に乗ってしまった...。
しかし案の定最後は斜度がきつくなっておまけに氷化斜面、シール歩行を断念せざるを得ずその場で慎重にアイゼンに履き替えて何とかピンチをやりすごしたが、
明らかにヒヤリハットをやらかした形となってしまった...。
山スノボーでは山頂からの滑降こそが悲願であり、また成功した際の達成感も大きい。
しかしこの日は山頂直下が完璧に氷化しており、滑降しても全く楽しめずケガのリスクある為、
今回は無理をせず山頂下の肩にスノボーセット一式をデポしてピークを踏むことにした。
そして午前11時、念願であった晴れの十勝岳の頂を踏むことに成功した。
十勝岳にはこんな素晴らしい景色が広がっていたのか...!短い時間ながら前回の縦走では全く味わえなかった360度の絶景につかの間の時間酔いしれた。
馴染みのない山域での山座同定は意外と難しく、富良野岳、オプタテシケ、美瑛富士を把握するのが精一杯であった。
さて、山頂から一旦肩まで降りて、この後はスノーボードである。雪質はアイゼンの前爪がちょっとしか刺さらない程度の硬さである。
しかし斜度はそれ程でもないので、思い切って山頂少し下の安全そうな場所からエントリーすることにした。
滑降してみるとゴウゴウと音が鳴る予想通りのハードバーンでここでは情けなくも高度を下げるだけで精一杯であった。
とにかく転んでケガだけはしないよう横滑り基調で時折ターンを交えつつ慎重な滑降に努めた。
しかし幸いハードバーンはグラウンド火口上の台地迄で、その先は一転素晴らしいザラメ雪、ようやく至福の時間の到来である。
早速グラウンド火口に大きなターンを刻む。斜度も緩くて、気温が少し低いのか思いのほかよく滑る雪であった。
(写真:グラウンド火口を滑り終えた先で一か所雪が切れており、一旦板を脱いでそのタイミングで十勝岳とボードをバックに写真を撮影した。)
板を履きなおしてここから第2ラウンド、傾斜のある広大なザラメ斜面が下まで広がる十勝岳で一番滑って楽しい区間の始まりである。
一気に標高を下げるのは勿体ないと思いつつも、心地よいザラメ雪に最高の景色、結局雪渓末端まで結構なスピードでノンストップで滑り降りてしまった。
雪渓末端で板を脱いで少しばかりの休憩タイムを挟み最後はシートラで望岳台に帰還した。
GWの十勝岳山ボードは山岳行程としては初~中級にカテゴライズされるかもしれないが、前から1つの目標としていただけに、
その達成感は大きく、また1つ心に残る山の思い出を残すことができた!
<三段山>
翌日は天気がイマイチでしたが折角なので山スキーで人気の三段山に登ってきました。
一般的に紹介されているルートは途中ハイマツの薮を抜けて隣の雪渓に移って山頂直下に至りますが、
自分は藪抜けポイントを逃してしまい、正面の細い雪渓を詰めて山頂に至りました。
ただ逆にこのルートを進んだのが大正解、山頂直下は急でシートラになりますが、こちらは斜度がそこまできつくなく
稜線直下までシール歩行で簡単・安全にに登り上がることができました。
山頂直下にトトロのようなオブジェがあって記念撮影!下山のスノボーはやや硬めのザラメながら登り返しなく吹上山荘まで滑ってこれました。
<GW遠征の感想>
2024年の北海道遠征であったが、安定した天気の中、余市岳、札幌岳、積丹岳、旭岳、十勝岳、三段山と数多くの山に登頂でき、
加えて、温泉、ラーメン、セイコーマートも堪能できて、自分の頭の中に思い描いていた計画が概ね実現できた形で締めることができた。
前半は札幌周辺での活動であったが、余市岳は札幌から近い山ながら本格的な雪山でそのスケールには驚かされた。
定山渓の豊平峡温泉は初めてであったが私好みの古い日帰り温泉施設で気に入って2回も訪問してしまった。
積丹半島への訪問も正解で、積丹岳への登頂は積丹半島の峰や渓により強い興味をもつ大きなきっかけとなった。
一方最高峰余別岳への登頂が大きな課題として新たに表面化した。いつか沢登りか山スノボーで達成したい。
余市の回転ずしも印象に残った。どのネタもかなり美味しかったが、No.1は圧倒的にニシンだった。
タコザンギ、茹でとうきびといったお気に入りのB級グルメにまた1つお気に入りが増えた形といえよう。
後半は大雪山エリアでの活動となった。
今回メインに旭岳、十勝岳と2つの日本百名山を選択したのでミーハーな百名山ハンターと取られても仕方がないが、
自身としては積雪シーズンの晴れのタイミングでそれら頂に立つことがなにより悲願であった。
特に十勝岳は前回が全く景色のない登頂だっただけに、今回晴れの登頂が果たせてようやく重い荷が下ろせた感じである。
さて後半3日間は白銀荘に宿泊したが、水着を着て入浴する露天温泉プールは前回同様期待を裏切らない心地よさであったことは言うまでもない。
(露天温泉プールは狙い通り人少めで最高だったが、流石にGWど真ん中の5月3日は混雑、次回は混まなそうな平日夜に再訪しよう。)
なお白銀荘は山岳前線基地というよりか夜は玄関のカギがしっかり閉まってしまうので、もはや完全な旅館であって、
宿泊を選択したことで富良野岳、芦別岳といった狙っていた早朝出発が必須となる山への登山計画が必然的についえる形となってしまった。
しかし名峰の数には限りがあって1座1座を大切に登っていきたいと考えると、楽しみを残しておけたことになる。
ちなみに富良野岳へは避難小屋を使いつつ美瑛富士~十勝岳~上ホロカメットク山~原始ヶ原をつなぐルートを、
芦別岳については、紅葉の秋に、旧道~新道の周回コースで登頂したいと今は思っている。
最終日は白銀荘ではなく無料の吹上温泉露天風呂に入浴したが、長旅を続ける旅人のつかの間のオアシスといった位置づけだろうか。
露天風呂では常連の道民さん達と談笑、北海道に住んでいると100km~200kmの移動は日常とのことで、改めて北海道のスケールの大きさには驚かされる。
最終日は富良野~占冠~夕張を経由して苫小牧へと至ったが、ドライブ~お土産探しと雑務をこなしたらいつの間にかフェリーの出航時間迎えて終わってしまった。
帰りの船内では諸々忙しく手つかずとなっていた先月の東北スノボー遠征の作成に尽力した。
フェリーは午後3時に新潟に到着、自分の場合新潟に来たらまず立ち寄るのが新津温泉である。
しかしGWで混んでいそうなので今回は立ち寄らずに帰ろうと運転するも道に迷って気づけば新津駅周辺、
何かに導かれるがごとく新津温泉に吸い込まれたのは言うまでもない、鄙び具合も相変わらずであった。
GWの関越は30km渋滞が深夜まで解消しない為、栃尾~守門村~湯之谷村~小出~六日町の経由となったが、
途中湯之谷村で立ち寄ったラーメン屋(ポニーさん?)の醤油ラーメンが濃いめの端麗味で自分好みで印象に残った。
その後仮眠を挟んだり、深夜も渋滞が解消されなかったりで、結局深夜3時に帰京、本当に無事活動終了となった。
それにしても2023/24シーズンは東北遠征(4月)、今回の北海道遠征(5月)と久々に完全燃焼することができた感がある!
最近は山以外も色々忙しく今シーズン同様にGWを丸々アウトドアにつぎ込めるか未知であるが、
今年は山ボードで完全燃焼できたので来年のGWは山ボードに変わってパックラフト、沢登り、縦走、離島旅もありかなと思っている。
それくらい心満たされる大満足の北海道遠征であった!