天気 :曇り後晴
メンバー:ひとり
行程 :石跳橋6:40→道行山9:20→越後駒ケ岳13:30→道行山15:30→石跳橋17:10
遠征2日目は中々足を運べていなかった越後駒ケ岳でスノーボードをしてきました。
予想通り技術的、体力的に手強い山行で、途中シールトラブルもありつつも粘って登頂できたものの、
最後にシールトラブルが牙をむいて危機一髪.....!
山からお灸を添えられる山行になってしまいました.........。
<山行記録>
越後駒ケ岳も久しぶりである。
前回は幕営道具を担ぎスノーシュー+ボード1泊2日で登頂しており、また過去には情けないミスで敗退もしている。
長い林道のトラバース、急登、頻繁なアップダウン、クレバスといったリスクを孕み、メジャーなコースとは言え、気の抜けないタフな山である印象が強い。
シルバーライン開通時間に伴う山行時間制限もとても厄介なファクターと言えよう。
前日の山行を終えて片品村から小出に移動、道の駅で仮眠してから早朝6時のシルバーライン開通に合わせて銀山平に移動、
石跳橋は平日のわりに山スキー?の車が多く、駐車スペースはほぼ一杯であった。
(休日は一体どれほど混雑するのだろうか.........。)
6時40分に石跳橋をスタート、最初はしばらく平坦な林道を進んでいくが、この時期はいやらしい雪の肩斜面が形成されて、
スリップしないよう慎重に進んでいく必要があって序盤から心身疲弊させられた.......。
(スキーと比べてスプリットボードはトラバースが明らかにキツイと思う。)
1時間程歩いて道行山へと続く尾根を登る。意外と急登だったがクトーを装着してスキーモードのまま何とか突破した。
稜線まで登り上がった先、途中雪が切れており、シートラに切り替えた。
再び雪が出てきたところでスキーモードに切り替えようとしたところ、右足側のシールクリップが片方脱落して紛失していることに気がついた。
張り流しでシールを装着してみたところ、すぐに剥がれてしまうことはなさそうだったので、大丈夫と判断して先に進むことにした。
(しかし後々、シール剥がれが牙をむくことになる........。)
どうも昨日の疲れが残っているようで、この日は足取りが重くペースが中々上がらず、道行山まで3時間近くかかってしまった。
ここまで登ると越後駒ケ岳の全容を拝めるが、堂々たるビッグマウンテンである。
山頂ははるか先、登頂できるのだろうか。
道行山からは50m程標高を下げる形となる。山頂直下は斜度がある為、モード切替が手間だが滑走を選択した。
地味で短い滑走を経て、再びシール歩きとなる。
小倉山は雪庇、急登で直下が困難でトラバースによる巻きとなり、一見したところ厄介そうに見えたが、
近くまでくると幸いトレースがしっかり構築されており、安全に突破することができた。
トラバースを終えて、再び悠々たる越後駒ケ岳が正面に見えるところで小休止、この先には急登が2か所控える。
前回はスノーシューだったので安全に登頂できたが、果たしてスプリットボードで登れるだろうか、この時少し不安になった....。
そして懸念の急斜面エリアまでやってきた。
最初の急登は、斜面下部は見たところ緩そうで問題なく登高できたが、次第に斜度が増していってスリップの危険が出てきたため、
途中でザックを下ろしてクトーをとりつけて突破した。
思いのほか高低差があって、結構体力を絞られ、思いのほか時間を費やす形となった。
小屋直下の2つ目の急登は標高差は小さいが、先ほどよりも明らかに斜度が増す斜面であった。
スキートレースがうまくジグを切って伸びており、クトーを装着して挑んだところ、何とか行けそうであったのだが、
途中でやたら滑って「おかしいな」と思って板を見たら、クリップを失った右足側のシールがベロっと剥がれていた。
シールが無いので当たり前だが、雪面に密着した板は滑って全く制動が効かない.......、ピンチに劣った。
幸い新雪気味の斜面で、その場で板を上手く脱いでブーツを蹴りこんでステップを構築、シートラスタイルに切り替えてその場を突破した。
それにしても登高中にシールが剥がれてスリップに至ったケースは今回が初めてであった。
去年まで使っていたG3のシールはテールがゴムでしっかりしたクリップが実装されており、装着は堅牢であった。
その一方で今年新ボードに合わせて新調したG3のシールはテールがゴムから安っぽいペラペラなポリプロピレンシートで、
使っている中でクリップの固定位置が頻繁にずれてしまって「へぼいなあ」と以前から感じていた。
そんな中、今回フィールドでアクシデントが顕在化してしまった。
非常に危険なケースだった。
何となく気づいていながらこれまで対処を怠っていたことは猛省に尽きる。
そんなこともあって大分時間が押してしまい、体力消耗も大きく、登高に全集中するのに精一杯で、
肩の小屋やその周辺の写真がほぼ無いことに後で気づいた...。
(ちなみに肩ノ小屋から山頂までは概ね緩斜面で安全に登り上がることができる。)
ようやく山頂到着、登頂に7時間近くを要したが、アクシデントや疲労もあった中、自分なりに粘り強く頑張ったと思う。
山頂からは中ノ岳や八海山と言った越後三山の主峰が望め、景色を楽しむことができた。
ところで越後駒ヶ岳といえば何といってもオツルミズ沢での沢登りある。
かなり本格的な登攀が要求される上級の沢で、現時点では挑戦できるスキルと体力を持ち合わせていない為、
現時点で遡行の予定はないが、今でも私にとって憧れの沢の1つであることは間違いない。
さあ、ようやく下山である。時間も遅いので慎重に滑降しよう。
雪はストップスノーではあったが、越後駒ケ岳山頂から滑降しているといった充実感もあって満足のいく滑降となった。
(写真:登りに1時間以上を要した急登も、滑降するとわずか10分、これが山ボードである。)
前回は白沢を滑降したので今回は尾根上にルートをとった。
小倉山のトラバース部は少し登ってから再滑降することで簡単にやりすごすことができた。
道行山手前の往路で滑った部分は、どうしても登り返しとなってしまう為、再度スキーモードに切り替えた。
道行山山頂から越後駒ヶ岳を振り返る。まだまだ気が抜けないがようやくここまでこれたといった感じである。
道行山から先は計画通り柳沢に滑り込んだ。
予想通り沢はしっかりと雪に埋まっており、沢割れや目立ったデブリも無く快適に下まで滑降することができた。
後は登山口まで1時間のシール歩行を残すのみである。
(写真:滑り落ちてしまった肩斜面。)
再び苦手な肩斜面のシール歩行の中、「気が抜けなくてつらいなあ。試練というかトレーニングというか場数をこなせば気にならなくなるのかなあ....」
と頭の中で考えていた時、急にグリップが効かなくなって、「おかしいな」と思って右足側の板を見たら何とシールが装着されておらず、
後ろを振り返ったら剥がれたシールがすぐ後ろのトレース上に落ちていた。
すぐに板を脱いでリカバーしようとした矢先、誤って痛恨の転倒、身体がズルっと肩斜面を滑っていって、
上の写真の雪がずり落ち土がむき出しになった部分にすっぽり落っこちてしまった。
幸い足から10点満点の着地を決められて、身体、ギヤともに全く無事だった。
ここがヤバい地形だったら死んでいた..........。
今回のインシデントの原因はギヤ(シール)であり、事前にギヤの交換、改修を行っていればインシデントは防げた。
大きな課題と猛省を残した。
が、とにかく深刻な事故になる前に経験できて本当に良かった!
そんな気持ちだった。
恥ずかしくもこの顛末を後ろを歩いていたスプリットボードの方に目撃されてしまった..........。
親切にも状況を大変心配くださり、一緒に歩いて帰りましょうと声をかけてくれて、途中まで談笑しながらの下山となった。
そんなこんなで夕方5時を過ぎての下山となってしまった。
完全燃焼!しかし本当に疲れた活動だった。
越後三山は今度無積雪期に小屋を利用した縦走で再訪したいと思う。