天気 :20日 晴、21日 曇り時々晴
メンバー:ひとり
行程 :20日 シレイ沢出合9:10→(25m直瀑)→2230mテン場14:30
21日 2230mテン場6:20→稜線8:40→薬師岳9:10→(地蔵岳)→白鳳峠11:40→広河原13:30
少し遅くなってしまいましたが、2025年沢登りシーズンスタート!
今シーズンは初回から遠征、南アルプスのシレイ沢を遡行してきました。
<山行記録>
7月の3連休はソロでどこかに山遠征の予定であったが、家族から1泊2日の登山許可が得られたと友人がLineをくれたので友人と沢登りに行くことに決めた。
ちょうど高気圧が列島を覆う天気図だったこともあり、今シーズン1本目の沢登りとなるが、思い切って遠征することにした。
場所は以前自身も遡行している南アルプス初級のシレイ沢を選択、とても開放的な沢でこの時期にピッタリの沢である。
自身が遡行した時は2014年、関東大雪でこの沢が幾多もの雪崩によって倒木に埋めつくされた年の遡行であったが、もうだいぶ回復していることだろう。
深夜に東京を出発し早朝芦安に到着するも、天気の良い3連休なので駐車場は混雑しており、第5駐車場に案内されたが、ここもほぼ一杯であった。
始発から1本遅いバスを利用した為、車内は比較的空いており、問題なくシレイ橋で降車することができた。
シレイ沢は初っ端からガレっぽい巨大なF1の登高から始まる。
簡単ではあるが少し滑るので慎重に足を進めていく中、冷たい水を少し被る形にもなり、ここで一気に目が覚めた。
堰堤を超えた先から滝が連発するが、過去に行く手を阻んだ倒木は殆ど無くなっており、シレイ沢の特徴ともいえる綺麗な花崗岩の白い砂が所々で目立つようになってきた。
シレイ沢は地形図でみても相当急峻な沢であり、シレイ沢から稜線までは直線距離にしてわずか3km程、堰堤から先、稜線までは終始滝の連発である。
難しい滝はすべて巻くことが可能で、当たり前だが沢の中でのケガは致命傷になるため、いつも通り安全(弱腰気味?)に滝をやり過ごした。
沢床に日が当たるようになって、後ろを振り向けば、大きく聳える北岳を垣間見れるようになってきた。
急峻な沢なので次から次へと滝が続き、休む暇があまりなく体力的にしんどいが、
南アならではの渓谷美にしばし癒されながらの遡行で精神的には幸せである。
5m~10mの滝が次々に連発し、写真の滝が何番目であったかも忘れてしまった次第である。
標高を上げるとバットレスを俯瞰できるようになってきた。
この日は3連休の中日、そしてこの晴天、第四尾根はきっとクライマーで混雑しているに違いない。
青空の下、冷たい水しぶきを浴びつつ、大きい滝を次々に越えていく。
沢のスケールを求めるとなると必然的に遠征山行せざるを得ないが、なんせコストと時間がかかるので、
その際には天気には拘りたいものである。
(写真:偶然写真を撮った名無き滝。ここはおそらく右から巻き気味に登ったように思う。)
シレイ沢で特徴的な3段20m滝である。
自分の古い遡行図では左岸巻きとあったが、メンバーが保有する最新の遡行図に右岸巻きと記述されており、
滝を観察して今回右岸巻きを選択したが、安全かつ効率的に滝を巻くことができた。
3段滝を越えると、右に巨大なスラブと左に端正な25m滝(通称白い滝)が見えてくる。
ここがシレイ沢一番の見どころと言えるだろう。
白い滝はカメラを縦にして撮影しないと収まらなかった。
記念撮影も行ったが、どうにも滝の大きさが伝わらない写真となってしまった..........。
白い滝はセオリー通り左岸のスラブ側から踏み跡を追うようにして巻いた。
滝上から先は短いながら美しいナメ滝ゾーンが続いた。
顕著な2俣を右に進み、滝を2つ程巻き気味に超えた左岸側にフラットなテン場を発見した。
間違いなく遡行図に記載のテン場と思われ、焚火の後も見つかった。
この日は幸い他の遡行者は見当たらなかった為、計画通りこの日はここで活動終了とした。
ここで自身にアクシデント発生、片付けや設営を済ませた直後に何故か頭痛と疲労に襲われて、横にならざるを得なくなってしまった.........。
結局3時間程熟睡、目が覚めた時にはすっかり夕方になってしまっていたが、おかげでどうにか体調回復に至ることができた。
(平日の疲れに加え、沢の核心部を無事突破した安心感からか、身体が緊張から解放されて疲れが一気にどっと出てしまったのだろう.........。)
日が落ちてから、夕ご飯、焚火とマッタリ幸せな夜を楽しみ遡行1日目が終わった。
2日目、この日は天気予報は晴れ後曇りと天気が下り坂の予報であるが、朝は青空が広がっていた。
少し沢を登れると昨日に引き続き北岳の大展望を楽しむことができた。
(写真:北岳バットレス。最近マルチピッチからすっかり遠ざかってしまっている。もっとトレーニングせねば.........。)
テン場から30分ほど登ったところで水が枯れ、巨岩で覆われた急峻な枯沢が立ちはだかった。
枯沢を登攀して超えていくのがセオリーだろうが、見所は少なそうで、メンバーと協議の結果、
無理せずここで遡行終了とし、安全に樹林帯を登り詰めて稜線に上がることにした。
前回ソロで遡行した時もちょうどここで沢を外れて樹林帯を詰めて稜線に上がった記憶である。
樹林帯は弱点で特段苦も無く、テン場からわずか2時間で稜線まで詰め上がることができた。
稜線まで上がると景色も開け、青空と雲が正面に広がっていた。
シレイ沢遡行終了!メンバーと互いに今回の遡行の成功をたたえあった。
シーズン一発目からギア一式に幕営道具を背負っての遡行で標高差も中々だったので体力的にはしんどかったが、
その分達成感はひとしおである。
稜線から少し歩いた先に鳳凰三山の1座である薬師岳の山頂があり、そこで記念撮影を済ませた。
実際写真程自分はお腹が出ていないはずなのだが........、痩せなければ.........。
(写真:薬師岳山頂付近から望むオベリスク方面。鳳凰三山を特徴づける風景である。)
薬師岳から地蔵岳の区間は所々でタカネビランジが満開で心癒されるも、一方で、どっと疲れが出てきてしまったのか、急に足が前に出なくなってしまった.......。
以前鳳凰三山を歩いた際も何故かこの区間で疲れ苦しんだ記憶が残っており、奇しくも前回同様に苦戦を強いられた。
微妙なアップダウンが続く区間ではあるが、極端な急登がある訳ではない所要時間約1時間のこの区間はどうやら私にとって鬼門のようである。
鳳凰三山といえばオベリスク、以前から登頂を虎視眈々と狙っているのだが、全然実現できていない。
以前は残地ロープが残されていたが今はそれも無くなってしまい、登攀するとなればカムやナッツでアンカーを取りつつ、
クライミングシューズを履いて微妙な登攀が求められそうだ。
ちなみにこの日は上記の通りすっかりバテてしまったので、自身は途中の分岐で大休憩とし、
元気なメンバーは一人でオベリスク直下まで地蔵岳を見に行っていた。
地蔵岳を過ぎてもスムーズに下り基調にはならず、高嶺という小ピークを越えねばならない。
以前隣の赤抜沢を遡行した事があるのだが、その時はここまで詰め上がったことを思い出した。
後は下るだけだと気楽に考えていたのだが白鳳峠からの下りが意外と足にキツく、特に後半が急峻で結構体力を絞られた。
そして広河原に無事下山、駐車場に戻って帰りは、温泉~くるまやラーメンと立ち寄ったが、
残念ながらもはや東京名物ともいえる中央道大渋滞につかまってヘトヘトになっての帰宅となった。