日時 :2025.04.29〜05.01
天気 :29日 吹雪、30日 晴れ、1日 晴れ
メンバー:ひとり
行程 :29日 室堂12:30→(雷鳥荘で休憩)→雷鳥沢野営場14:30
:30日 雷鳥沢野営場7:20→(大走り)→真砂岳10:10→(真砂沢滑降)→劔沢出合11:20→剣御前小屋15:30→(雷鳥沢滑降)→雷鳥沢野営場16:20
:1日 雷鳥沢野営場7:40→一ノ越10:20→(雄山ピストン)→一ノ越12:20→(御山谷+タンボ平滑降)→黒四ダム14:30
雪が多いシーズンながら散々天気に振り回された2025年GW、今年は2泊3日で立山でした。
久々幕営道具を背負ってのスノボーでしたが、今回の活動で、新調した板が軽くて泊りの山旅向けであることが分かりました!
<山行記録>
ー4月29日ー
GWと言えば、東北や北海道まで遠征してスノーボードや登山を満喫するのが私のライフワークである。
1年間の中で自分にとって、最も力の入るイベントであり、最も楽しいイベントでもある。
しかし今年は天気が無残にもそのプランを打ち砕いた。
一週間のうちで晴れのち曇りの日がわずか1日...、残りはほぼ雨模様、残念過ぎるが中止する以外に選択肢はなかった。
東日本全体が悪天気味の予報の中、北アルプスは何とか4/30、5/1のみ連続で晴れそうで、
心機一転、この期間、立山にスノボーに行くことにした。
前日深夜に東京を出発、豊科の西友で食料を買い込んで扇沢へ向かった。
白馬エリアはすっかりご無沙汰ながら、豊科~大町~白馬は高速1000円時代に何度も通っていたこともあって、東京住まいながら土地勘はバッチリである。
悪天ながらこの日はGWの休日、扇沢の無料駐車場は満車、仕方なく柏原新道登山口の空スペースに駐車することにした。
さて、幕営装備でのスノーボードも久しぶりである。
装備が重すぎてまともに歩けず遭難したら切ないので、今回大分軽量化に努めたが、いざボードを横付けして背負ってみると、
少し重いが十分山岳活動できる重さであった(ホッとした!)。
GWのアルペンルートは初めてで、ウェブ上だと午前中の予約券はすべて売り切れていたので、
本当に乗車できるのか来てみるまで少し不安だったが、結局この日は問題なくチケットを購入することができた。
乗客の9割はインバウンド客であった。
バスやロープウェイなどはかなり混雑しており、都会の通勤ラッシュの電車の如しであった。
室堂に至っては乗り物を遥かに上回る大混雑状態で...、立ち食いソバはおろか、トイレすらまともに利用できない混雑っぷりであった。
登山届を提出して外に出てみると吹雪、雪質は水っぽい春ならではのベタ雪、風は幸い微風、視界はほぼ無かった。
重いザックを背負ってのシール装着はスムーズであったが、景色がほぼ見えない中での下り斜面の対処には苦労した。
途中階段部ではシートラに切り替えるなどして、黙々と雷鳥沢野営場を目指した。
途中の雷鳥荘で小休止、缶ビールとカップラーメンを購入し、少しだけお腹を満たした。
(本当は泊まりたかったが、GW中なのでベッドに空きは無かった、いつか山旅で宿泊したい。)
立山に来て最初の滑走は(毎々同じだが)雷鳥荘から野営場への滑り込みとなる。
景色が殆ど見えない中、コケないよう慎重に滑降しつつ、無事に目的地に到着した。
早速ツェルトを建てようとしたところ、雪山用のペグを忘れてしまった。
その為、仕方ないのでストックやボードを駆使して何とか設営を完了させた。
ちなみに野営場の利用料金は1日千円、水と水洗トイレが自由に使えるので、文句なしの極上サービスである。
因みにこの日最大の核心ポイントは、何と野営場~トイレ間にある5mの段差、ステップのほぼ無いツルツルのスロープが形成されていて、
コケずに降りるのが大変だった.......。
ー4月30日ー
目が覚めると空は既に明るくなっており、予報通りの素晴らしい天気となった。
起床後、急いで朝食を済ませて朝7時20分にテントを出発、まずは大走りから真砂岳を目指す。
雷鳥沢方面は多くのスキーヤーで賑わっていたが、大走り方面は閑散としていた。
右を向いても、左を向いても、正面を見ても、絶景!
流石、立山である。
大走りは序盤は沢を詰めつつ早いタイミングで尾根に登り上がるが、朝は斜面が氷化しており早めにクトーを装着した。
傾斜はそれほどでもなかったが、クトーがガッチリ雪面に決まって安全に登り上がれた。
やがて尾根沿いの登山道に合流し、雪が切れたところでシートラに切り替えた。
登山道を少し歩いて真砂岳に到着、この時間は強い風が吹いていた。
正面に対峙する真っ白でピラミダルな象徴的秀峰は日本百名山の鹿島槍ヶ岳である。
そこから少し進むと今日スノーボードで滑降する真砂沢が見えてきた。
全体的に真砂沢には雪庇が形成されていたが、左側に一か所だけ雪庇の無いポイントがあって、
ちょうど風もよけられるポイントだったので、そこで小休止を挟み滑降に備えた。
いよいよ今回の遠征最大の目玉「真砂沢」の滑降である。
勿論剱沢出合まで滑る予定だ。さあ、いこう!
純白で巨大なU字型の真砂谷は、私にとって今シーズン初めての「ザラメ雪+フィルムクラスト+面ツルノートレース」、最高の雪質であった...!
誰もいない貸し切り大斜面にシュプールを刻む、ああ、この上ない至福の刹那................!
できるだけ長くスノーボードを楽しみたいので、大きくジグザグに斜面を滑ってできるだけ長い時間真砂沢を満喫した。
やがて急峻な岩稜が見えてきて、狭い部分を抜けるとゴールの剱沢出合であった。
滑降成功!わずか30分の至福の時間が終わった......。
ともあれ、間違いなく私にとって今シーズン1番のスノーボードとなった。
今回ルートに真砂沢を選択したのは大正解であった。
ここからは長い剱沢の登りとなる。急登や難所は皆無だが、延々と登り坂が続く。
おまけに沢底は無風で異様に蒸し暑く、予想以上に体力を絞られた。
剱沢は歩いても歩いても終わりが全然見えてこなかった。
平蔵谷まで1時間、そこからペースダウン、途中の剣沢野営場が全く見えてこない、一歩一歩黙々と進んでいった。
やがて剣沢野営場付近に到達したところで後ろを振り返ると、凛々しい剱岳との対面となった。
さらに登っていくと登山者の赤旗ポールが出てくるようになった。
平蔵谷、八ッ峰クライミング、北方稜線、池ノ谷、積雪期の剱岳は屈強な岳人のみの領域である。
(写真:雪を被ったGWの剱岳)
剱岳山頂直下から50度近い傾斜のルンゼを抜けて平蔵谷に抜ける大脱走ルンゼというスキールートがあるが、チャレンジすることは無いだろう。
午後3時半を過ぎてようやく剣御前小屋に到着できた。ここまで登り上がるのに4時間を要す形となった。
もし午後3時頃迄にテン場に着けたら雷鳥荘まで足を運んで日帰り温泉+生ビールを狙っていたのだが、大分時間が押してしまったので今回は諦めることにした。
(写真:剣御前小屋のベンチから立山を俯瞰、すごい景色である。)
剣御前小屋で少しマッタリ休憩したら、フィナーレの雷鳥沢滑降である。
雷鳥沢は数多くのスキーヤーに滑られた後で斜面はギタギタになっていた。
雪質はまだザラメで地形的にも楽しい斜面なのだが、本日滑降した面ツルの真砂沢と比較してしまうと、幾らかランクダウンに感じてしまう。
とはいえ、絶景を堪能しながらほぼ貸し切りでの滑降は上々である。
しかし改めて絶景である。写真だと地獄谷からの煙が印象的で目に留まる。
後で調べたら雷鳥荘や雷鳥沢ヒュッテの日帰り温泉は遅い時間まで受付てくれるようで、
濁り湯を堪能しに行くべきだったと少し後悔した...。
午後4時を回ってしまったがテン場に到着、本日の活動終了である。
テント立てなおした後は日没までの間、山々の絶景をアテに外でマッタリお酒を楽しんだ。
今日1日の真砂沢滑降の成功を祝し、充実感に浸りつつ安いお茶割を嗜むひと時は、自分にとってささやかながら最高に贅沢な時間であった。
お酒はそれほど多く飲んでいないが不思議と早々にほろ酔い気分となってしまった。
自然と気を休めることができていたのだろう。
日が沈む頃にテントに入り、軽く夕食(かたやきそば)を済ませて就寝した。
昨日に引き続き、この日も予報通り快晴の朝から始まった。
テン場で大分のんびり朝食やパッキングを済ませて、朝7時40分に野営場を出発、まずはここから一の越を目指す。
が、判断を誤って途中でルートミス.......、山崎カール下側からトラバースするようにアプローチしようと思っていたが、
ルートは延々と氷化した肩斜面が続き、危険なので一旦称名川源頭まで滑降し、そこからまっすぐ上を目指すルートに変更した。
肩斜面でのモードチェンジは滑落リスクに加えて、ザックや板を流してしまう可能性もあり、
絶対にミスが許されない...、予想以上に慎重さを極めた。
下手に無理して進んでしまうと、気づいた時にはモードチェンジ不可能で、滑落といった最悪の事態となってしまい、
シール登高はアイゼン登高に比べて圧倒的に慎重さを極めるべき行動であることを痛感させられた。
源頭まで滑降したところ、緩斜面が一の越まで一直線に伸びており、「なぜあんなところを歩いてしまったのか.......。」と苦笑いであった。
結局このリカバリで一時間弱の時間と結構な体力を消耗してしまった。
そしてようやく一ノ越に到着、強風で有名な一ノ越だがこの日はほぼ無風の快適コンディションであった。
正面には御山谷の大斜面と奥に槍ヶ岳等北アを代表する秀峰が俯瞰できた。
計画通り、一ノ越に板と宿泊荷物一式をデポして空身で雄山に登ることにする。
1時間程登り進むと社務所と奥社が見えてきた。
奥社まで登って記念撮影を早々に済ませた後は社務所前のテラスで後立山の山々を眺めながらつかの間の休憩を楽しんだ。
雄山では少しマッタリ過ごし再び一ノ越山荘まで戻ってきた。
かかった時間は往復2時間くらいだろうか。
雄山には板を担いで登っている方も多く、(スティープな)社務所裏や山崎カールの他、御前谷にもスキートレースが何本もあって、
帰宅後に調べてみたところ、御前谷を滑降して途中尾根を乗り越えタンボ平に合流するコースがあるようだった。
一ノ越では槍ヶ岳をバッグに記念撮影してもらった。
写真を見ると折角の素晴らしい構図にもかかわらず目をつぶってしまっていた........(涙)。
自身の姿は失敗ながら、今回の活動の中でも象徴的な写真なのでここに掲載することにした。
さて、ここから先は(ほぼほぼ)お楽しみの滑走タイムである。
御山谷に豪快に飛び込んでシュプールを刻みたい!、ところなのだが、実際タンボ平にアプローチする為には東一ノ越を乗り越える必要があって、
その場合、山の斜面に続く登山道をトレースしていくように滑降せねばならない。
実際、ほぼ忠実に横滑りを続けていかないと登山道まで到達できない感じだった。
ルートを外さないようかなり意識して滑走したことで無駄なく登山道に上がれたが、ここでミスしていたら、後々急斜面をアイゼンシートラで登り上がっていかねばならなかったろう。
登山道は滑走できないので、板をザックに括りつけていたところ、ザックのストラップが割れてしまった。
その為、ここから先はすこし不格好なパッキングで歩く羽目になってしまった。
東一ノ越に至る区間は所々で際どい雪面トラバースが必要ですこし緊張した。
この日はトレースバッチリだったので安全に歩き進めたが、もしトレースが無かったら、アイゼンピッケルで慎重にルート工作する必要がありそうで、
意外な難所になるのではと思った。
そしてようやく東一ノ越を乗り越え、滑走するタンボ平をこの目で俯瞰した。
地形を観察すると、登り返し無く滑り降りる為には、地形的に左に長いトラバースが必要そうであった。
憧れのタンボ平であったが、標高が少し低いからかザラメではあったが縦溝が大きく、気を抜いて滑るとすぐに転んでしまうような有様であった。
少し降りると大観峰からのロープウェイが見えたので、(見えてるかわからないが)手を振ったりしてみた。
そんな訳で人生初のタンボ平はやや不完全燃焼なものとなってしまった。
黒部平駅下からダムまでの滑走は予想通りテクニカルで、慎重なルートファインディングを行った。
実際無意識に滑走してしまうと左側ガレルンゼに吸い込まれてしまうような地形で、少し危険だと思った。
そしてようやく黒部ダムの湖畔に降り立つことができた。
(ダムまで歩荷が残ってはいるが)ここでようやく山行終了である。
最後は板を担いで15分程歩いてダムに、インバウンド客の邪魔にならなそうな場所で板を片付けて、バスにのって扇沢に帰還した。
久しぶりの2泊3日の山ボードであったが、心は十分満たされた、完全燃焼!
車に戻って片付けを行った後、高瀬館、昭和軒と大町を満喫した。
明後日までフリーな一方、翌日は降水確率100%......、明後日は終日曇り予報だったのでこのまま長野残って、
明後日は日帰りで火打山に登ろうかと思ったが、下界でも多くの用事があったので、火打山はキャンセルし帰京することにした。
今回の活動は自身にとって大きな収穫だった!
何が収穫だったかといえば滑走道具+幕営道具を背負って支障なく山行をこなせる目処が立ったことである。
スプリットボードが大幅に軽量化できたことで、それが可能になった次第である。
今シーズンは難しいが来シーズンの春は忙しくなりそうである。
現時点だと下記の泊り山行をどこかで実現できればと思っている。
ー 双六・鷲羽岳リベンジ(2泊3日)
- 黒部五郎岳+薬師岳(3泊4日)
- GW至仏山+平ヶ岳(1泊2日)
- 火打山[高谷池ヒュッテ利用](1泊2日)
ー 焼石岳[銀名水避難小屋利用](1泊2日)
- 八幡平横断[2泊3日]