天気 :晴れ
メンバー:ひとり
行程 :柏原新道登山口3:40→種池山荘6:20→新越山荘8:20→スバリ岳11:20→針ノ木岳12:00→扇沢15:20
昨日の常念山脈縦走で大分疲れが残っていたのですが、よりによって下山の翌日が100%の晴れ予報。
行くしかないだろうってことで、針ノ木岳をチョイスしたものの、いざ歩いてみると予想以上にしんどい健脚向けのルート、しかし天気と景色は最高でした!
<山行記録>
前日まで1泊2日の燕岳縦走だったが、天気は正直なところイマイチであった。
コースは普通のガイドブックで初~中級にカテゴライズされるノーマルルートにもかかわらず体力的に思いのほかしんどく、翌日は休もうかと思っていたが、
そんなときに限って翌日が100%の快晴予報、再び北アの稜線に立ちたいモチベーションが疲れを上回って、日帰り登山することに決めた。
ただ鹿島槍ヶ岳のようなビッグな山への登頂はしんどい。
そんな訳でこの日は、早朝から荷物の軽い日帰り登山スタイルで、以前4~5月に何度か登っているお手軽感のある針ノ木岳山頂に登ることにした。
(※この針ノ木岳の夏道が全くもってお手軽でなかったことを翌日痛感する羽目になる。)
一人なので前日は道の駅で車中泊としたが、異常気象の今年は9月なのに真夏な気温が続いて車内でまともに寝ることができなかった。。。
さらに、深夜2時頃扇沢に到着したものの昨今のキャンプブームの延長か、駐車場が100%満車で扇沢付近に全く駐車スペースが無く、
結局柏原新道入口はるか下の空き地になんとか1台分の駐車スペースを見つけてようやくスタートにこぎつける形となった。
それゆえ、登山開始が夜明け前の午前3時40分となったが、今回のルートは標高差が大きいので、正直もう少し早立ちしたかった。
柏原新道はやはり登り向けの登山道でとても歩きやすく、前日の疲労さながら順調に標高を稼ぐことができた。
標高が上がってくると雲海も見えてきた。景色が映えるのは圧倒的に朝方、この時まずはできるだけ早く稜線に立ちたい一心だった。
種池山荘に到着、自宅は遥か遠方なのだが、実はたった2週間ぶりである。
(しかし次回の訪問は何時になるだろうか...。残雪期の爺ヶ岳を狙っている。)
山荘のベンチでは年配のトレイルランナーさんと山談笑を楽しんだ。
ランナーさんは日帰りで鹿島槍ヶ岳を目指すとのことで、それを聞いたときはただただ凄いなあと思うばかりだったが、
まさか自分の目指す針ノ木が鹿島槍ヶ岳と大差ない距離と標高差のハードルートであることはこのとき知る由もなかった.........。
山荘からは山々に挟まれた日本百名山に選定されている名峰水晶岳を確認することができた。
小屋を過ぎたらいよいよ針ノ木縦走路がスタートである。
早速北アの峰々をいくらか俯瞰することができ満足するが、それはこの後に控える大絶景のほんの序章に過ぎない。
2~3つのピークを乗り越えた先、一気に立山と剱岳が現れた。
圧倒的な存在感で大きさもひときわである!
逆サイドを振り向くとめっちゃ豪快な大雲海が谷間を突っ切るように一面に広がっていた。
本当に頑張って登った甲斐があったものである。
(写真:剱岳絶景ポイントから撮影した1枚を拡大 この角度から望む源次郎尾根、長次郎谷、八ッ峰は新鮮である)
(写真:立山連峰と自分の影、ずっとこのレベルの景色を拝みながらのハイキングは中々貴重、今回はまさに極上体験と言えよう)
アップダウンをいくつかこなして岩小屋山からぐっと下ったコルに新越山荘がある。
時間的にちょうど登山者が出発した後のようで、ひっそりとしていた。
ここのベンチから望む景色も中々上々であり、山荘のトイレをお借りした後、ここで小休憩をとることにした。
(写真:新越山荘先から針ノ木岳とスバリ岳を俯瞰、北アは名峰が多すぎて針ノ木岳の存在はやや地味ながら、こうやって対峙すると中々立派であると思う)
新越山荘から先、鳴沢岳~赤沢岳とピークが続く。登山道の険しさも少しながら増してきた感じがした。
ちょうどこの辺りを境に前日針ノ木小屋に宿泊したと思われる登山者の方々と頻繁にスライドするようになった。
ここまで静かな山歩きだったのでかなり穴場なトレイルなのではと思い込んでいたが、実際はかなりの数の登山者で賑わう超メジャー登山道であった。
確かに整備の行き届いた一般登山道で、このすばらしい景色が楽しめるトレイルならば、穴場の訳が無いといったところだろう。
先ほどまでは剱が主役だったが、この辺りにくると主役は立山に変わる。
改めて俯瞰してみて、雪崩にガッツリ削られた立山・剱・黒部別山の急峻な岩壁群が圧巻である。
赤沢岳から先は岩稜帯となり、より一層アップダウンが大きくなってペースも落ちてきたので時間も気になってきた。
ここまで険しく長い道を歩き続けていると、いくらマイペースを保っていても、疲れは流石に隠し切れない。
本日最大の体力的核心部がスバリ岳への直登であった。
直下に立って眺めると、えげつない急登に、圧倒的存在感、威風堂々の一言に尽きる!
疲労した体には結構えげつない急登で、とにかくバテないようマイペースに一歩一歩標高を稼いでいくことに集中した。
コルから30~40分、ひたすらと急登を昇り続けてようやくスバリ岳山頂に到着、針ノ木岳が最後に残っているが、この山への登頂だけで大分お腹いっぱいである。
山頂で関西から訪れていたおばちゃん達と談笑、日帰りで登っていますと話したら「とにかくがんばってー」と応援してくれた。
ここでもボヤくが、今回の計画は自分にとって正直欲張りすぎであった。。。
スバリ岳から針ノ木岳への最後の登りは標高差100m強、このタイミングで100mの急登は確かにしんどいが、
先程のスバリ岳のそれと比べたら大したことは無く、いよいよゴールでもあり、体力的かつ精神的に楽であった。
昼の12時、ようやく針ノ木岳山頂!気づけば前回登頂したのは2014年4月、何と10年ぶりの登頂であった。
針ノ木は針ノ木雪渓~マヤクボ沢の残雪期山ボードでの訪問が定番だったので、初秋の針ノ木は新鮮であった。
扇沢から針ノ木岳への標高差は1000m強、春はボードを担いでアイゼンピッケルで登るので毎回登頂に一苦労だが、
ボードを担いで登ってた時よりも今日の日帰り登山のほうが荷物が軽いのに圧倒的にしんどかった。。。
マヤクボ沢には雪が無く俯瞰すると普通の斜面であったが、スノボーでどんな感じで滑っていたか等、過去の記憶を回想しつつ針ノ木小屋を目指した。
針ノ木小屋は混雑しており、小屋脇の日蔭で最後の下山に備えるべく休憩を取った。
それにしても今年は谷に雪が全く残っていないことに驚いた。
何だかんだ言っても針ノ木は北ア三大雪渓の1つである(もう一つは白馬大雪渓と剱沢)。
ここからは下り一辺倒となる。登山で登りと下りで使う筋肉は一般に異なるが、ここまで長い時間歩き続けると、
流石に使う筋肉に関係なく足の疲労が半端なく、大きくペースが落ちてしまった。。。
途中、大沢小屋の横を通って、以前本で読んだことのある百瀬慎太郎を思い出した。
針ノ木雪渓で慎太郎祭りが毎年6月に開催されていて、10年以上昔は谷は毎々雪渓でがっつり埋まっていた。
最近はどうだろう?最近では白馬大雪渓が深刻な寡雪で8月に登山道通行止めになってしまうと聞く...。
10年前に「これから温暖化で雪が減るだろうから今のうちに楽しんでおこう」って冗談半分で口にしていたが、笑えない100%事実となってしまった。。。
深刻なのは、これが僕たち私たち日本人といった内輪が頑張るだけじゃどうにもならない世界規模の問題であるという事実だろう。。。
最後はしんどい下山であったが無事扇沢に下山、結局11時間越えの活動となってしまった。。。
扇沢から駐車スペースは5km程離れているが、前日扇沢にMTBをデポしておいたのは正解だった。
下山後はルーティーンすぎるが、高瀬館~テンホウとハシゴした。
お財布に比較的易しいテンホウは美味しく満足だが、そろそろ新しいお店を発掘するのも良いかもしれない。
大締めは東京までの300kmドライブである。
連日の山行もあって中央高速運転途中眠気が酷くなって、横になりたかったので諏訪ICで降りてネットカフェで仮眠しようとしたら、
ネットカフェの前でなんと車のマフラーが壊れていきなり珍走団状態になってしまい、できるだけ御迷惑をおかけしないよう誤魔化しながら帰京した。
丁度車検のタイミングだったので後日車を預けに車検屋に行ったらマフラーもステアリングもボロボロで直すのに大金が必要とのことで、
本活動が愛車ティーダのラストランとなった。。。
総括すれば同じコースの再訪はしばらく遠慮したいが、当然満たされる山行となった。
針ノ木雪渓山ボードも天気や都合がミートしたら近シーズン中に是非実行したい。