天気 :15日:曇り、16日:曇り時々晴れ
メンバー:ひとり
行程 :15日:中房温泉12:20→燕山荘16:00→(テント設営)→燕岳17:20→燕山荘17:50
:16日:燕山荘6:20→大天井岳8:40→常念岳13:00→三股登山口16:30→(MTB)→穂高温泉郷17:30
2023年のシルバーウィークは残念ながら天気に恵まれず計画していた南東北遠征は中止に....。
天気予報を見る限り北ア常念山脈の天気が唯一マシな感じで、一度も登ったことが無かった燕岳についに登ってきました。
<9月15日>
2023年のシルバーウィーク、飯豊縦走、前川大滝沢、南会津紅葉狩りといった南東北遠征計画が終日雨が先行する残念過ぎる天気予報で無念の中止となった。
燕岳を選んだ理由の1つは時間の余裕であった。
連日忙しく準備や前日移動の時間がまったく取れない中で安全で無理無く登れ、有名ながら一度も登ったことがないことが決め手となった。
(沢登り等のバリエーション活動はプレがほとんどできておらず、勘の鈍りも感じており、今回は安全を考慮して見送ることにした。)
ルートは、初日は燕山荘でテン泊、翌日は大天井岳~常念岳とつながるパノラマコースを縦走して三股登山口で下山する計画とした。
なお登山口へのアプローチは、行きは穂高温泉郷からバスで中房温泉に、帰りは事前に三股登山口にMTBをデポしておいて、それで穂高温泉郷に戻る作戦である。
初日は昼12時を過ぎた遅い時間に登山開始であるが、中房温泉から燕山荘迄僅か5kmのショートコースである。
といっても北ア三大急登の合戦尾根、このあとに結構しんどい急登を体感することとなった。
合戦尾根は道はバッチリ整備されているとはいえ、延々と急登が続く予想以上に体力勝負な尾根であった。
冬季に燕岳に登る場合、トレースはバッチリだろうが燕山荘迄相当な体力と時間を要することが十分予想できた。
今日の空模様は前線が残る曇り予報で、登山中、有明山が時折見えたり消えたりな視界であった。
しかし今日はほぼ移動日と言える工程であり、おかげで気持ちが焦ることは全くなかった。
合戦小屋を過ぎると斜度はそれまでよりも多少緩やかになったが、ここに至るまでに結構体力を絞られたので、最後まで楽ではなかった。
樹林帯からハイマツ帯に変わったあたりで猿の群れに出くわしたが、ハイマツ帯で猿軍団に出くわしたのは初めてであった。
(まさかライチョウを餌にはしていないだろうか...、何となくそうしていないと思い込みたい...。)
中房温泉から3.5時間強ひたすら歩き続けようやく登山雑誌やネットでおなじみな燕山荘に到着した。
当初小屋泊もいいなと思っていたものの料金は2食付きで一泊15000円である。
メンバーがいたらありだが、今回はソロ山行なのでケチってこの日はテント泊とした。
(写真:山男の石像、山男というよりお猿さんである。しかしめっちゃ自分の琴線に触れるデザイン!いい歳して写真を撮りまくった。)
ガスっていても燕岳山頂に立って今日1日を終えたい気持ちが強く、テントを立てた後、日没が迫っている中、山頂を目指すことにした。
テン場から20分弱の散歩を経て17時20分、ようやく今日のゴールともいえる燕岳山頂に到着した。
日没近いことや山頂付近は時折ガスっていたこともあり、山頂は貸し切りであった。
しかし絶妙なタイミングでガスが取れて、わずかに夕日が指し込むタイミングにも出くわして、
このシャッタチャンスを逃すまいとここぞとばかりに写真を撮りまくった。
山頂で一人乾杯できるようちゃっかり缶ビールも持参していたので、それは勿論最高の一杯となった。
念願のイルカ岩とも初対面であった。思った以上にデカかったというのが率直な感想である。
今日の夕ご飯はカップラーメン、茹でもやしと茹でキャベツを入れただけの手抜き飯である。
毎回山行の際は夕ご飯をガッツリ食べていたが、結局翌朝もガッツリ食べるので、夜は軽めで十分なことに最近やっと気が付いた次第である(笑)。
<9月16日>
翌日は雲海は見えたものの結構曇が多く、冴えない日の出での幕開けとなった。
折角なので何枚か日の出の写真を収めた後に、とりあえず燕岳に足を運ぶことにした。
朝の燕岳は思った以上にガスっており、昨日夕方に登っておいて本当大成功であった。
昨日燕岳への登頂を控えていたら、相当不完全燃焼な気持ちが残ってしまったことであろう。
燕山荘から最初に目指す目的地は大天井岳であるが、朝燕山荘を出発するときにはガスに覆われその姿が全く見えなかったが、
時間と共にガスが少しずつ取れ始めて絶好のタイミングというか最後大天井岳に取りつく手前でガスが一気に消え、最高のご対面となった。
(写真:つい10分前はガスって何も見えなかった大天井岳が急に目の前に現れた。何というタイミング!)
朝8時半過ぎ、大天井岳山頂に立つと、ここからスタート地点の燕山荘が確認できた。
結構な登高をこなしてここに至ったと思いきや、大天井岳の標高は2922m、一方燕岳は2763mと、その差はたったの150m程度なのであった...。
大天荘からは槍ヶ岳が望めるがこの日は随分と雲が多く、結局スッキリガスの取れた槍の穂先を拝むことができなかった。
常念山脈のパノラマコースの展望は北アの中でも秀逸で、かなり気に入っていたりする。
完全な晴れではないのが残念であるが、晴れの景色はいずれまた再訪したときの楽しみとしておくことにした。
目の前にそびえたつ常念岳、常念小屋から500mの標高アップは覚悟の上である。
今回自転車をデポしているのは三股登山口なので一ノ沢は使えず、今日は登るしかないといったところである。
そして午後1時、常念岳に登頂!
看板をもって記念撮影をすませたが、この看板が意外と重く、ポーズをキープするのがえらいしんどかった...。
ここからいよいよ下り一辺倒な下山となるが、今回下山に使った三股ルートは思った以上に傾斜がきつくて岩場の多い一般ルートながら健脚向けなルートであった。
冬季常念岳を目指す場合、三股~前常念のルートを一般に使用するようだが、ノートレースの場合、
急斜面ルーファイ+ラッセルはとても避けられなさそうで、一筋縄にはいかない体力勝負な山行となるだろう。
1日に前常念まで登りあがってテントを張るのは相当な体力と最高のコンディションを持ち得ていないと難しそうである。
となると前日に急登手前の樹林帯にテントを張って、残り時間は翌日のトレースをひたすら工作、翌日空身で山頂アタックするのが現実的であろうか。
そんなことを想像しつつ、疲れを誤魔化しながら急登を一気に下ってゴールの三股登山口を目指した。
午後4時半に三股登山口に到着し、そのあとはデポした自転車で穂高温泉郷に向かってひたすら快適なダウンヒルが続いた。
駐車場に着いたタイミングでちょうど大雨に見舞われ、まさしくギリギリセーフなタイミングであった。
今回の山行の感想としては、充実できたがそれ以上にしんどかったというのが本音である。
超メジャールートだからと言って決して楽ではないといったところだろう。
表銀座から槍ヶ岳に登頂したく、パノラマコースもまた歩きたい、再訪する日はわりかし近いのかもしれない。