天気 :3日 晴れ後曇り、16日 晴れ後曇り
メンバー:ボイジャー
行程 :3日 土樽7:20→(車道歩き)→万太郎谷出合8:40→(オキドウキョ)→一ノ滝11:50→二ノ滝上BP15:00
4日 二ノ滝上BP5:00→三ノ滝5:20→稜線9:00→(オキの耳~厳剛新道)→土合13:00
2024年は久しぶりにメンバー(といいつつ2人ですが)と北アルプスで夏合宿を開催することになり、
プレとして上越に遠征して万太郎谷本谷を遡行してきました。
とても暑い1日で攀じりに泳ぎに充実したプレとなりました。






<山行記録>
2024年はメンバー(といいつつ2人ですが)と久しぶりに北アルプスで夏合宿(双六谷支流の小倉谷遡行)に挑戦しようということになり、この日が第2回目のプレであった。
(ちなみに1回目のプレは大菩薩の小室川谷で沢登りを行った。)
プレの目的としては技術、体力、ルーファイ力の向上である。
できれば一筋縄にはいかなそうでかつ成長につながりそうな沢を遡行したい。
ガイド本を眺めて熟考した結果、今の自分には少ししんどいかもと思ったが、万太郎谷本谷を選択した。
スタートは土樽駅、土合と同様に山スキーや沢登りでお世話になる山ヤには欠かせない駅である。
ここから1時間程林道を歩くが、この日は朝からエグい暑さで早速我慢の林道歩きとなった。
ところで万太郎谷はその時の水量によって大きく難易度が変わる沢である。
万太郎谷出合いに到着して沢みたところこの日は水量は明らかに少なそうで、このとき正直少しホッとしてしまった。
通常沢の水は真夏でもわりかし冷たく、遡行中は全身が水に浸かることをできるだけ避けていくものだが、
この日はえげつない猛暑だからか、泳いでも殆ど冷えを感じることがなかった...。
最初は冴えないゴーロ歩きから始まる。しかし少し進むと上越の沢らしい花崗岩のナメ床が現れて早々に感動してしまった。
泳いだら本当に気持ちがよさそうなトロ場が次々に現れて、きれいな淵や釜を見つけては我慢できずにザックを下ろしてここぞとばかりにドボンしまくった。
ナメ床から先、お世辞なしに全く退屈しない時間が続いた。
普段豪快に水が流れて難所となる淵もこの日は水量が少ないおかげで極上の貸し切り天然プールであった。
(写真:関越トンネルの換気口。遠くに万太郎山が聳える。この日は終日厚い雲が稜線を覆っていた。)
難所「オキドウキョのトロ場」も上記同様、この日はエメラルドグリーンの流れるプールと化していて思う存分泳ぎまくった。
結局オキドウキョは前半は泳いで突破、後半は左壁を攀じって、簡単にクリアすることができた。
オキドウキョを過ぎるとこちらも遡行対象とされる井戸小屋沢に出合い、そこを過ぎると沢は少しずつ標高を上げていく様相となった。
小さく登らせる滝や巨岩のゴーロがずっと続いて、前半の遊びのツケではないがこのあたりから疲れを感じはじめてきた。
思い返すとここ数年、泊りの沢を遡行する度、後半バテがどうしても隠しきれなくなって、何とかしなければとうすうす感じている次第である...。
山ヤとしては円熟期に差し掛かりつつある中、ウッカリしていると何も成しえないままご老体~衰退期に入ってしまいそうで、
沢登りを少しでも長く続けていくとなると、今こそが日常生活内に体力トレーニングを貪欲に取り入れるべきタイミングなのかもしれない。
標高がどんどん上がって、ゴルジュから少しづつ開けた地形へと変わっていった。
傾斜の緩い素敵なナメが連続する一方肝心な登りの部分に限ってヌメリが強く、ラバーソールが切ないほどに滑りまくって、いくらか無駄な苦戦を強いられた....。
(写真:一ノ滝手前辺り。いつでも飛び込んで泳げそうなエメラルドグリーンの釜が連発!ここは休まず通過してしまったのだが、
立ち止まってじっくり泳ぐべきだったと今更ながらかなり後悔している....。)
ナメ滝群を抜けた先、万太郎谷本谷の目玉の一ノ滝30mが豪快に姿を現した。
ここに至るまでは概ね小滝しか無かった為、豪快で端正なその姿を見て思わず「うおおおー」と声を上げてしまった...!
ここでは勿論記念撮影も欠かせない。
三ノ滝も中々立派だが、記念撮影するなら背景はやはり端正さで勝る一ノ滝であろう。
一ノ滝は左壁、右壁ともに攀じれるようだが、経験値の乏しいスラブ登攀な一方ハーケンやカム類を持参しておらずトライするなら残置頼みとなってしまう。
今回は安全確実な完全遡行が最優先目標なので、予定通り右のルンゼ辺りからの高巻きを選択した。
先人の遡行記録を参照すると、一ノ滝は無駄なく小さく巻くことができる一方、大きく巻こうとすると、かなり悪い巻きを強いられるとのことだった。
そんな中、最初に取りつくルンゼとラバーの相性が最悪で、ルンゼを安全に登ることだけに集中してしまった結果、
正しい巻き道を見逃して大高巻きとなってしまい、際どいトラバースと下降を強いられる形となってしまった。
最後は数メートルの懸垂下降となり、メンバーが最初に懸垂して正しい巻き道(バンド)に降りれることを確認してくれたので安全に沢に復帰できたが、
もし単独遡行だったらどう対処していただろうか...。
下手に懸垂して足場のない断崖絶壁に追いやられて滑落といった最悪のシナリオが頭をよぎって、足がすくんで完全に行き詰って途方に暮れていたかもしれない...。
(帰宅後でWebをチェックしてみたところ一ノ滝は高巻きミスは万太郎谷あるあるミスのようであった。
踏み跡が明瞭な丹沢や奥秩父と異なって、メジャーな沢でも一筋縄と行かないのが上越の沢の難しさといえよう。)
(写真:端正な二ノ滝。あまりに暑すぎてこまめにクールダウンしないと熱中症になりそうな陽気だった。)
計画では初日に三ノ滝の登攀を済ませてその上でビバークする予定であったが、元々万太郎谷はテンバの少なさがネックで、
そんな中イシクラ沢手前右岸に2人くらい寝れそうなテンバを発見、三ノ滝上部のテンバは何とか横になれる程度との情報だったため、本日はここで活動終了とした。
(もしこのまま疲労が蓄積された状態で遡行を継続した場合、三ノ滝の登攀では喉がカラカラになっていたかもしれない。この判断は正解だった。)
寝床はごつごつした石の上なので寝心地はイマイチだったが、薪も程よく集まって満足のいく焚火ができて、また乾いた岩があったおかげで沢服もしっかりと乾かすこともできた。
この日は夜遅くまで暖かく、標高1000mを超える沢筋でありながらシュラフカバー1枚で快適に過ごすことができた。
翌日は早起きに成功、寝起きが悪く体は少し重かったが、朝5時頃に出発することができた。
20分ほど歩き進めていくと今回の核心である三ノ沢が現れた。
(写真:2段構成の三ノ滝を俯瞰、今回の山行で唯一本格的な登攀が必要な滝である。)
この滝を一度登攀した経験がもしあれば優しいのかもしれないが、重い荷物を担いで高度感のある登攀となるためここでは迷わずザイルをだした。
下段はセオリー通り窪みを攀じって小さなバンドに乗って、フリクションに頼って斜面をあがる形となる。
フリクションに頼る部分がもし滑ったらどうしようかと少し怖かったが、足をのせてみるとラバーソールがバッチリ効いてあっけなく登り上がることができた。
上段はさまざまなルートが取れそうだが、滝の中の苔に覆われた小さなバンドに足をかけたら滑って転んでしまったので、
おとなしく一番無難なルンゼを登って薮をトラバースするルートをとってやり過ごした。
この薮のトラバースは木々を掴みながらバランスよく小さな足場を伝っていくのだが、失敗したら滑落となるので、一番無難とは言え中々気が抜けないルートであった。
核心を超えたら先はいよいよ本格的なツメが始まる。難所は無いが沢床にヌメリが目立つようにもなってきて完全な体力勝負となる。
薮漕ぎではないが、笹やハイマツの薮のせいで沢床が見えなくなってきて、歩きづらく一歩一歩我慢の登りであった。
しばらく沢を詰めていった先で先行パーティー(女性2人とシニア男性1人)に追いついたが、なんとそのベテラン男性が岩遊の豊野則夫さんであった。
(偶然お会いしたので挨拶しかできませんでしたが、過去の遡行記録や著書など多く読んできて憧れていたので本当にうれしかったです。)
時間がたつにつれて次第に雲も減ってきて、谷川主脈の稜線に近づく頃に後ろを振り返れば納得のいく景色が堪能できた。
出発から4時間、800m程の標高差を経てようやく稜線に乗り上げることができた。
我慢して忠実に沢筋を詰め上がった結果、そこは肩の小屋からわずか2~3分の距離であった。
肩の小屋で装備を解除して休憩した後、山頂(トマの耳)で記念撮影、まだ下山が残っているが大きな達成感をもっての登頂であった。
トマの耳から万太郎山方面はしっかり晴れていた一方、オキの耳~一ノ倉谷方面は強烈にガスっていた。
下山は一般には天神尾根~ロープウェイであろう。
しかし貧乏な学生時代に染み付いた習慣というかアホな意地がここで発動してしまって西黒尾根を進んでしまった......。
(これが途中大きな後悔となってのしかかってきた........。)
(写真:西黒尾根から俯瞰したマチガ沢方面。バックカントリーの人は厳冬期にここを滑降するらしいが自分にはとても無理である...。)
西黒尾根の最初の1時間は景色も楽しめ楽しい山歩きであった。
しかし厳剛新道に入ると一変、石畳の急登で降りるたびに足に痛みが走るようになって、おまけに蒸し暑さも増して完全に疲労困憊、超絶しんどい下山となってしまった。
ハーネスギヤ一式をザックにしまい込んだことで一気にザックの重みが増してそれが大きな負荷となってしまったようで、
ハーネスは装備したまま下山すべきだった...。
尾根を降りたところで大休止した後、最後は土合まで4kmの林道歩きを経て活動完了となった。
土合では何かイベントをやっていたのか大賑わいであった。
駅前に新しいカフェができてて電車が来るまで40分ほど時間があったので、カフェでアイスフロートを注文、
しかし稼働がイマイチで、注文してから受け取るまでに30分近くを要して結局一気食い、まともに味わえないまま土合駅ホームに駆け込む形となってしまった。
土合駅ホームも異常な人だかりで電車も混んでて座れないまま土樽に到着、活動終了となった。
予想通り楽しさとピリ辛さの両方が兼ね備わったハードな沢であったが、夏合宿のプレとしては大成功、十分心満たされる思い出に残る山行となった。