天気 :晴れのち曇り
メンバー:ひとり
行程 :平標登山口2:20→平標山4:50→仙ノ倉山5:50→万太郎山9:00→トマノ耳12:00→天神平13:20
空梅雨の合間にまたしても上越まで遠征、仙ノ倉山~万太郎山に登ってきました。
<山行記録>
梅雨明けがもう間もなくといった週末、天気予報を眺めつつ、前回に引き続き、またしても上越への遠征登山を計画・実行した。
なお今回は新潟県まで足を運ぶが、スケジュールの関係で日帰りである。
活動形態としては縦走と沢登りで迷ったが、久しぶりにニッコウキスゲが綺麗に咲きほこる夏山の風景を拝みたく、
ネットでいろいろ調べて検討した結果、今回は縦走を選択、上越国境上に位置する万太郎山を今回の目的地とした。
スタートはなんと朝2時半、あまりに早朝すぎるが、見所の少ない登り区間を日中よりも涼しい深夜にやり過ごして、
丁度早朝に見所の多い稜線区間を楽しめるといった合理的な作戦でもある。
とは言え、標高1000mを超える山にもかかわらずこの日は深夜も暑かった。
この時期日の出を過ぎてから登山を開始した場合、おそらく登りで暑さに苦しめられることになるだろう。
序盤は登り一辺倒、そこで一気に標高を稼ぎ主要なピークの1つである平標山を目指す。
今回は西へと延びる稜線上に拓かれた登山道を利用したので日の出は拝めなかったが、
平標山には明るくなって間もないタイミングで登頂することができた。
この時点で、これから向かう仙ノ倉~万太郎山方面にはガスが立ち込め、めまぐるしく渦巻いていた。
ここまで来たらあとはガス蒸発してくれることをひたすら願うのみである。
(写真:平標山~仙ノ倉山を結ぶ稜線、微妙に残るガスが景色にメリハリを与え、素晴らしい山の早朝といった景色を撮影できた。)
平標~仙ノ倉の区間は予想外にも多くのチングルマが咲き渡っていた。
この時期、すべてが果穂になっていたが、とても綺麗だったのでとりあえず満足である。
果穂のチングルマも素敵だが、やはり白と黄色の象徴的な満開のチングルマのほうが好きなので、
次回は梅雨の真っただ中の6月中旬での訪問を誓うとしよう。
後を振り返ると、先ほどまで山頂にいた平標山を望めた。
仙ノ倉山方面から望む場合、意外と端正で開けた山といった印象をもった。
仙ノ倉山直下、南東方向には豪快な雲海が広がっていた。
前日までのぐずついた天気が作り出したのだろうか、とりあえず夜中出発の超早朝登山が大きく功を奏した結果と言えよう。
(写真:過去に訪れたNZのルートバーントラックに引けを取らない豪快な雲海、秀逸である。)
仙ノ倉山山頂には平標山から1時間もかからず到着することができた。
なんせ早朝な時間であり、当たり前だが山頂には誰もいなかった。
持参したおにぎりで体力補給、登山道が険しくなるのはここから先である。
仙ノ倉山を過ぎて一旦大きく下るが、この辺りから今回のお目当てのニッコウキスゲがようやくお出ました。
青空とのコントラストが想像通りで、これぞ夏山と言った風景、わざわざ遠方まで足を運んだ結果が実を結んだ。
エビス大黒ノ頭に登りあがったところでも上々の大雲海が望めた。
山好きえあれば何度遭遇しても全く飽きることのないであろう至福な風景である。
おかげで無駄に同じような写真ばかりを量産してしまった。
この辺りから自分と逆の方向に歩き進む登山者グループと何度かスライドする形になった。
随所にある避難小屋に宿泊しての縦走も中々面白そうである。
エビス大黒頭から先も激しいアップダウンが続いた。
気温もすこしずつ上昇しだし、この辺りから足に疲労の色が出始めてきた。
今回は長距離コースであるがゆえ、できるだけ疲労しないよう無理ないペースで歩きつづけてきたが、
さすがにここまで距離が長くてアップダウンが激しいと、それもごまかせなくなってきた。
ニッコウキスゲ、ウサギギク、コオニユリ、ハクサンイチゲ等、夏の高山植物が途切れることなく咲いており、右を向けば豪快な雲海、
急登、強烈な日差し、そして足の疲労のトリプルパンチでこのとき決して快適では無かったが、
今記録を作成しながらこうやって写真を見返すと、ついまた再訪したい気持ちになってしまうものである。
(写真:ニッコウキスゲと雲海、高山に遠征したからと言っても簡単には拝めない極上景色である。)
素晴らしい景色はまだまだ続く、が、エビス大黒ノ頭を過ぎてからのアップダウンにはだいぶ骨が折れた。
歩いても歩いてもアップダウンが連発、万太郎山山頂を中々捉えることができなかった。
(写真:岩の割れ目からのぞむ立派な雲海。先ほどの写真と同じ言われればそれまでだが...。)
目標地である万太郎山を遠く望む中、風もあまり無く、だいぶ汗だくになっていた。
今日は軽装帯での登山だが、炎天下の中で泊りの縦走装備を背負ってこのルートを歩くとなれば、中々ハードな試練だろう。
今回の山行で撮影しまくったニッコウキスゲ、絵になる風景が所々で連発し、雲海同様にシャッタを押す手が止まらず、ひたすら写真を撮りまくった。
万太郎山手前のピークで地形的にようやく雲海とお別れとなってしまう。
そのため、最後にしっかり構図を狙って、雲海の写真に収めた。
(写真:途切れることなく続くニッコウキスゲのお花畑と谷川連峰の峰々。)
そこまで豪快にニッコウキスゲが咲いている訳ではないのだが、人の少ない静かな山中であるところがポイントである。
霧ヶ峰や雄国沼のよう豪快なニッコウキスゲ畑であっても、車で簡単にアクセスできて、おまけに人ばかりでは、感動や達成感は得られないであろう。
朝9時、ようやく万太郎山頂に到着した。
深夜2時半に出発しているので、6時間半といった時間を費やしてここまでたどり着いたことになる。
この時間になると周辺の風景はわりかし雲に隠れてしまっていた為、山頂ではあまり写真を撮らなかった。
山頂からは赤谷川源頭が望めたが、多くの雪渓で埋めつくされていた。
赤谷川本谷は沢登りで遡行対象となる沢であるが、ドウドウセンを巻いても遡行グレード3級の難渓である。
もし遡行するとなれば、技術だけでなく体力的にも相当厳しい遡行を強いられることになりそうだ。
万太郎山を過ぎてから足の疲労の色もしだいに濃くなってきて、若干足に痛みも出始めてきた。
午後1時半の下り電車に間に合わせたくハイペースで歩きたいが、さすがに疲労は隠せない。
肩ノ小屋へと延びる稜線上を黙々と歩き続ける中、この区間もアップダウンが連発し、試練の時間であった。
空も徐々に雲で覆われて風景映えしなくなり、この時気持ちはすっかり下山に傾いていた。
肩ノ小屋直下で昨年遡行した万太郎谷を俯瞰する。
観察した限り上部に雪は無さそうであったが、はたして下部はどうであろうか...。
肩ノ小屋で小休止した後、トマの耳に向かうも、山頂はお祭りの如し、人でごった返しており居場所が無く記念撮影する気にもなれなかった。
下山は天神尾根を選択、時間的には大分厳くなったがこの時はまだ下り電車をあきらめてはいなかった。
天神尾根は思った以上に長く急で、だいぶ脚に堪えるものがあった。
天神平からの登山客も多く、自身の足の疲労が重なって、全然ペースアップできなかった。
結局リフトトップに到着したのは13時20分、少しゴンドラを待って13時半過ぎに下界に降りれはしたものの、
ロープウェイ駅にタクシーなどおらず、ここから土合のホームまでは少なくとも20~30分を要する為、下り電車は諦めることにした。
そうなるとどのように平標山登山口まで戻るかであるが、バスで水上駅、そこからタクシーで上毛高原駅、新幹線で越後湯沢駅、
最後に路線バスで駐車場といった戻るルートしか術がなく、結局タクシー代や新幹線代等で約1万円を出費する羽目となってしまった。
今日の活動を総括すれば、自身にとっては予想以上に体力的にキツいルートであったことは否めない。
しかしニッコウキスゲや雲海等、予想以上な景色もあって、いつになく写真の取れ高が高い山行でもあった。
次回、来年あたりに梅雨の晴れ間を狙って仙ノ倉山に再訪したいと思った。